今回は時のオカリナ、VA-11 Hall-A、Hacknetの各ゲームであえて暗記をさせることで得られる体験について紹介したい。
ゼルダの伝説 時のオカリナ
NINTENDO 64および3DSでリメイクされたゼルダの伝説 時のオカリナではキーアイテムとなるオカリナを実際に演奏することで様々な効果を発揮することができる。
どれもごく短いフレーズではあるが憶えられないうちは手間に感じるだろう。一度覚えた楽譜はポーズ画面から楽譜の確認ができる。ただプレイした当時はがその画面から演奏したことにできればいいのではないかと考えていた。
しかしこれはプレイヤーが曲を憶えて演奏することに初めて意味があることに気づいた。オカリナで演奏できる曲はダンジョンの宝箱から入手できるアイテムと違い、キャラから教わるものでその繋がりを意味している。
例えばエポナの歌は7年超えたリンクとエポナが出会ったとき自身を避けていたエポナがその曲を聞くことでリンクを思い出して背に乗せるようになる。
逆に子供時代にカカシの歌を自ら教えることで7年後に特定の場所でカカシを呼び出すことで冒険を有利に進められるといった具合だ。
本作は7年の時を行き来しながら進めていきリンクの体格も使えるアイテムも変わっていくのが特徴だ。7年間で変わっていく自分と世界に対してリンクや他のキャラの記憶や関係を結びつけるため、リンクとプレイヤー自身が曲を憶えて演奏することでその一体感を演出している。
VA-11 Hall-A
次にサイバーパンクな世界でバーテンダーとなるVA-11 Hall-Aの例を挙げていきたい。
VA-11 Hall-Aでは客の注文に対して材料を混ぜ合わせてカクテルを作ることでゲームが進行する。カクテルのメニューとそのレシピは注文のたびに確認できる。失敗したものは提供できないし時間制限などもないので正しいと思うカクテルを作るまで落ち着いてプレイできる。
失敗出来ないならただメニューからカクテルを選ぶのとそう変わらないのではないかと思う。しかしプレイヤーは次の話をスムーズに進めるためにレシピを見ないでカクテルを作る事ができる。
これによってミスによる不快感を低減しつつもバーテンダーとして上達していくのを実感できる。またカクテルをつくる難しさ自体がたびたび話に盛り込まれており、カクテルの作成を通してそれを実感できるような作りになっている。
常連客に「いつもの」をサッと出せるようになったとき深くその世界観に入り込めることだろう。
(余談だが話を進めたいがばかりにひたすら簡単なカクテルを作るとそれを指摘されてゲームオーバーになる)
Hacknet
最後にHacknetの紹介しよう。
HacknetではLinuxコマンドを使ってよそのコンピュータに侵入してデータを盗んだり破壊活動を行うゲームだ。
操作にあたって実際にコマンドを憶えてタイピングする必要がある。
はじめは慣れないのでhelpと入力すればいつでもコマンドとその使い方を確認できる。
ただしコンピュータによっては侵入したときに逆探知が働くため制限時間がある。
悠長にhelpを見ているヒマはないので重要なコマンドは覚えていなければならない。
スペルをすべて憶えていなくても入力の途中tabキーを押すと残りのスペルを補完してくれたり、↑↓のキーで操作の履歴を呼び出したりと暗記と素早い操作を手助けしてくれる機能がある。
これによってCUIの利便性を体感させつつ学習のした時の喜びを体感できるようになっている。
ゲームを楽しむ上で利便性も大切だがあえて崩すことで得られる演出、体験もある。
ゲーム自体、学習してそれを褒めることでモチベーション上げて楽しませるという性質がある。
一見するとプレイヤーの手間となる記号的な暗記だが、思わぬところで有効に扱われているかもしれない。