ニューヨークの街を颯爽と駆け抜けるヒーロー、スパイダーマン。
本作のザコはヒーローに立ち向かってくるだけあって妙に強い。
ザコはたびたびスパイダーマンに挑発するがそれはまったく虚勢ではない。
ザコ戦は一対多なのだが、プレイヤーを的確に取り囲み、銃を持った敵は常に射程を維持する。
さらにこちらが攻撃している最中も他の敵も容赦なく攻撃してくる。
みな元SWATなのではと疑いたくなるほどの抜群のチームワークだ。
スパイダーマンはドラム缶をウェブで振り回すのが精一杯だ。
戦闘を補助するガジェットは複数の敵をスタンさせたりウェブで拘束にできるが
効果はどれも瞬間的かつ、回数制限が厳しい。
メインのダメージ源は己の拳なのだ。
じゃあ回避で攻撃を見極めてスキを付けばいい、と思うが無敵時間が短く、
囲まれていると着地のスキを殴られる。
そんなチームワークに孤独なヒーロー、スパイダーマンはどうするべきか。
そうズバリ逃げるのである。
引く、攻めるの繰り返しにある爽快感
本作では移動に重宝するウェブスウィングで敵のリンチから逃れつつ銃弾を回避できる。
さらにボタンひとつで遠くの敵にウェブストライクで奇襲できるため
「ここだ!」というタイミングで敵を攻撃できる。
この戦闘システムと敵のAIの動きはうまく噛み合っており、優先して倒したい銃持ちは遠くから攻撃している分、他の敵と孤立しているので倒しやすい。
この戦い方のチュートリアル的存在が最初のボス、フィスク(キングピン)だ。
最初は1対1で戦うが後に部下とともに戦う。
巨漢でタフなフィスクは抜群のタンク役となり部下とともにリンチしてくる。
タイマンなら逃げなくても対処できるが複数を相手取る場合は逃げ回らなければ
苦しい戦いを強いられるだろう。
逆に逃げ回っている分にはダメージは最小限に抑えられる。
そうしてフィスクはスパイダーマンを落とすべく瓦礫に向かって走るので孤立する。
これを投げ返せばスパイダーマンに反撃のチャンスがやってくるというワケだ。
本作の戦闘はスパイダーマンらしくあるためにダラダラと歩かせないぞという
気概がヒシヒシと感じられる。
さらに慣れてくればウェブで壁に貼りつけたり、
ビルから突き落とすなどステージの特徴も活かせるようになる。
惰性で敵をボタン連打で殴るのではなく、敵をよく観察して離脱、奇襲を繰り返す戦闘にはクレイモアを振り回すだけでは得られない独特のスピード感がある。
自分の目と指、そして判断がカッコいいアクションにつながる
ゲームならではの快感を本作は提供してくれるだろう。